高齢者はさまざまな疾病が原因で、食べ物を噛んだり飲みこんだりする力が低下する方が少なくありません。口に入れた食べ物をしっかりと咀嚼できる力がないと、繊維質のものや噛む回数が多い肉や甲殻類などを避けるようになり、食べられるものが少なくなります。そうすると、つい食べやすいものばかり食卓に並べがちになり、栄養が偏ってしまいます。
また、飲みこむ力が弱いと、食べ物がのどに詰まったり、むせてしまったりし、食事に恐怖心を抱いたり、食べる量が減ってしまいがちです。
食事の栄養バランスの悪さや量の減少は、「低栄養」という状態につながります。
「低栄養」とは、生きていくために必要な量の栄養素を摂れていない状態のこと。肉類・魚類・乳製品などを食べなくなって陥るたんぱく質の不足は、筋肉量や血液量などの減少につながり、身体機能の低下に直結します。
また、全体のエネルギー量が不足すると活力低下に陥り、身体を動かすことが減って、ますます食欲が落ちるという悪循環に繋がってしまいます。
スマイルケア食について
国立長寿医療研究センターが実施した調査によると、在宅で介護を受けるご高齢者の36.0%が「低栄養」、33.8%が「低栄養のおそれあり」。あわせて7割近くの方が低栄養の危険にさらされています。
介護されている中で、「低栄養かどうかわからない」「いつも同じものを食べている」「昔はよく食べていたものを食べなくなってきた」などの様子がみられたら、食事について一度考えてみる必要があります。
以前より、咀嚼や嚥下が難しくなった高齢者のために「介護食」と呼ばれる食事が存在してきました。
歯が不自由な方向けに食材をミキサーにかけたり、ドロドロになるまで細かく刻んだ食材にとろみをつけ飲み込む際に気管にはいってむせてしまわないようにした食事のことを「介護食」と言います。
介護施設などでも必要な方向けに毎回つくられていますし、近年増えている高齢者向け配食サービス業者などのチラシなどでも目にされたことのある方はいらっしゃることでしょう。
2014年11月、農林水産省はこれまで曖昧だった「介護食」を新たな視点で捉えなおす「スマイルケア食」という名称とロゴマークを発表しました。
名前だけではない「スマイルケア食」とは
ご自宅で介護をされる方にとって特別な調理が必要な食事を朝・昼・晩用意することは大きな負担です。そこで、やわらかく調理された食品(やわらか食)やゼリー状の食品など、市販の「介護食」が広く販売されてきました。従来の介護食の中には、食べやすさ・飲みこみやすさ優先で美味しさが伴っていないものもありました。
また、ご自宅で用意する場合も、ミキサーにかけてしまうとどんな食材も見た目は同じようなペースト状になってしまい、食欲をそそられない結果になりがちです。自由に遊びに出たりできない高齢者にとって食事は一番の楽しみです。食事が楽しくなくなると日々に張り合いが無くなります。さらに食が進まないことで低栄養におちいりさらに体が動かなくなるという悪循環になります。
スマイルケア食は食べやすさ・飲みこみやすさはもちろん、「美味しさ」「見た目の美しさ」にもこだわり、要介護者の食欲をかきたて、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めることを目的としています。そのため、メニューも煮物、焼き魚、豚肉の生姜焼き、筑前煮など、健常者と変わらないバラエティゆたかな内容となっております。以前の介護食では食材をミキサーにかけてしまうと、たとえ成形してももとの食材とは似ても似つかぬ外見になるデメリットがありましたが、スマイルケア食メーカーの中には独自の技術で見た目がまったく変わらないまま、スプーンで崩せる程度のやわらかさを実現する企業も現れはじめています。
「鮭の塩焼きが食べたい」と願う嚥下困難なご高齢者の食卓に、オレンジ色のペーストではなく、皮までついた鮭の切り身を出してあげることができたら……そんなご要望が手軽にかなう時代になったのです。
高齢者と介護食について
高齢者と介護食について
高齢者はさまざまな疾病が原因で、食べ物を噛んだり飲みこんだりする力が低下する方が少なくありません。口に入れた食べ物をしっかりと咀嚼できる力がないと、繊維質のものや噛む回数が多い肉や甲殻類などを避けるようになり、食べられるものが少なくなります。そうすると、つい食べやすいものばかり食卓に並べがちになり、栄養が偏ってしまいます。
また、飲みこむ力が弱いと、食べ物がのどに詰まったり、むせてしまったりし、食事に恐怖心を抱いたり、食べる量が減ってしまいがちです。
食事の栄養バランスの悪さや量の減少は、「低栄養」という状態につながります。
「低栄養」とは、生きていくために必要な量の栄養素を摂れていない状態のこと。肉類・魚類・乳製品などを食べなくなって陥るたんぱく質の不足は、筋肉量や血液量などの減少につながり、身体機能の低下に直結します。
また、全体のエネルギー量が不足すると活力低下に陥り、身体を動かすことが減って、ますます食欲が落ちるという悪循環に繋がってしまいます。
スマイルケア食について
国立長寿医療研究センターが実施した調査によると、在宅で介護を受けるご高齢者の36.0%が「低栄養」、33.8%が「低栄養のおそれあり」。あわせて7割近くの方が低栄養の危険にさらされています。
介護されている中で、「低栄養かどうかわからない」「いつも同じものを食べている」「昔はよく食べていたものを食べなくなってきた」などの様子がみられたら、食事について一度考えてみる必要があります。
以前より、咀嚼や嚥下が難しくなった高齢者のために「介護食」と呼ばれる食事が存在してきました。
歯が不自由な方向けに食材をミキサーにかけたり、ドロドロになるまで細かく刻んだ食材にとろみをつけ飲み込む際に気管にはいってむせてしまわないようにした食事のことを「介護食」と言います。
介護施設などでも必要な方向けに毎回つくられていますし、近年増えている高齢者向け配食サービス業者などのチラシなどでも目にされたことのある方はいらっしゃることでしょう。
2014年11月、農林水産省はこれまで曖昧だった「介護食」を新たな視点で捉えなおす「スマイルケア食」という名称とロゴマークを発表しました。
名前だけではない「スマイルケア食」とは
名前だけではない「スマイルケア食」とは
ご自宅で介護をされる方にとって特別な調理が必要な食事を朝・昼・晩用意することは大きな負担です。そこで、やわらかく調理された食品(やわらか食)やゼリー状の食品など、市販の「介護食」が広く販売されてきました。従来の介護食の中には、食べやすさ・飲みこみやすさ優先で美味しさが伴っていないものもありました。
また、ご自宅で用意する場合も、ミキサーにかけてしまうとどんな食材も見た目は同じようなペースト状になってしまい、食欲をそそられない結果になりがちです。自由に遊びに出たりできない高齢者にとって食事は一番の楽しみです。食事が楽しくなくなると日々に張り合いが無くなります。さらに食が進まないことで低栄養におちいりさらに体が動かなくなるという悪循環になります。
スマイルケア食は食べやすさ・飲みこみやすさはもちろん、「美味しさ」「見た目の美しさ」にもこだわり、要介護者の食欲をかきたて、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めることを目的としています。そのため、メニューも煮物、焼き魚、豚肉の生姜焼き、筑前煮など、健常者と変わらないバラエティゆたかな内容となっております。以前の介護食では食材をミキサーにかけてしまうと、たとえ成形してももとの食材とは似ても似つかぬ外見になるデメリットがありましたが、スマイルケア食メーカーの中には独自の技術で見た目がまったく変わらないまま、スプーンで崩せる程度のやわらかさを実現する企業も現れはじめています。
「鮭の塩焼きが食べたい」と願う嚥下困難なご高齢者の食卓に、オレンジ色のペーストではなく、皮までついた鮭の切り身を出してあげることができたら……そんなご要望が手軽にかなう時代になったのです。
スマイルケア食の7つの分類
以前の「介護食」には全国共通の定義がなく、市販品を選ぶ際になにを基準にするべきか消費者にわかりづらいというデメリットがありました。
たとえば、同じ「食品を噛めない」状態でも、「舌でつぶせる」「歯ぐきでつぶせる」「弱い力でかめる」など、食事制限はひとそれぞれです。そこで誰にでもわかる客観的な指標が求められ、「高齢者ソフト食」や「嚥下食ピラミッド」などの基準が各団体で提唱されるようになりました。ただ複数の指標があると消費者に混乱を招きかねません。
そこで2014年11月、農林水産省が「スマイルケア食」の7つの分類とマークを定め、基準を統一することになったのです。
召し上がる高齢者の方の症状に合わせ適切な「スマイルケア食」をご利用いただくことが健康寿命を延ばすのに大切なこととなります。