「社員に、温かくておいしいランチを自己負担300円で提供したい」。
そう思っていても、「うちみたいな中小企業には難しいかな…」と諦めていませんか?実は、大掛かりな設備がなくても、補助の設計といくつかのルールさえ決めてしまえば、十分に実現できます。
鍵となるのは、出張社員食堂やお弁当配達といったサービスを上手に活用することです。この記事では、手頃な価格で社員食堂を実現するためのポイントを解説していきます。

300円は「設計」でつくれる
まず、従業員が支払う自己負担額(例:300円)を固定します。
次に、会社がどこまで補助するのか、そして「誰に、いつ、何回まで」食事を提供するのかを明確にしましょう。
さらに、「現物支給」として非課税で運用するための社内ルールを文書化します。ここまで決めれば、導入の土台は完成です。
税務のポイント:
主な設計パターン
やり方は主に3つの方法があります。
1.定額補助方式
定価から会社の補助額を差し引き、従業員の自己負担を常に300円にする方法。
2.基準価格方式
「300円ライン」のお弁当を用意し、それより高価なお弁当は差額を自己負担にする方法。
3.月額補助方式
会社が月間の補助上限額を決め、従業員は食事のたびに300円を支払う方法。
税務のポイント:非課税の条件をクリアする
食事そのものを会社が提供する「現物支給」は、いくつかの条件を満たせば非課税で運用できます。
一方、お昼代として現金を支給する「ランチ手当」は原則として課税対象です。
非課税で進めるためには、自己負担額の明確化、対象者や利用日のルール、そして上限額の管理を徹底することが大切です。社内規定や精算方法、勤怠管理との連携も準備しておくと安心です。
非課税を実現する場合の2つの必須条件
食事補助を福利厚生として導入する際、最も重要なのが税務上の扱いです。ルールを正しく設計しないと、会社からの補助分が従業員の給与と見なされ、所得税の課税対象となってしまいます。
食事そのものを会社が提供する「現物支給」の場合、以下の2つの条件を同時に満たすことで、従業員の給与に含めない「非課税」の福利厚生として運用できます。
【非課税の2大要件】
従業員が、食事の価格(定価)の半分以上を負担していること。
会社が負担する補助額が、1か月あたり3,500円(税抜)以下であること。
非課税で運用するモデルケース
前提として、社員の負担額が50%以上である必要があるため、食事の定価は600円以下である必要があります。
【食事の定価が500円の場合】
従業員負担:300円(定価の60%)
会社負担:200円
月の稼働日数を20日とすると、会社負担額は 200円 × 20日 = 4,000円 となり、上限の3,500円を超えてしまいます
このままでは全額が課税対象となるため、対策が必要です。
例えば、提供日数を月に17日以下に調整することで会社負担を3500円に収めることが可能です。週4日のみ弁当を提供するといった運用方法で調整をしてみましょう。
月に20日提供を続けたい場合は、会社負担分を通常の給与として支給するか、給与に上乗せして課税対象とする形になります。
食事の価格が475円以下であれば、月20日提供したとしても非課税枠に収めることが可能になります。
導入から運用までの流れ
具体的に導入を進める際は、こちらの流れを参考にしてください。
・要件を決める
週何回提供するか、自己負担額や会社補助の上限などを決めます。
・方式を選ぶ
出張社員食堂かお弁当配達かを選び、それぞれの運用ルール(湯煎の方法、注文の締め切り時間など)を確認します。
・決済・集計の仕組みをつくる
食数を記録し、給与天引きや会社立替で精算する仕組みを整えます。
300円でも満足度を保つ工夫
温かさは、満足度を高める重要なポイントです。
湯煎の手順を標準化したり、温かい汁物を常備したりすることで、評価は安定します。
温かいだけでなく、栄養バランスに配慮していたり、レパートリーが豊富であることも満足度向上の為に効果的になります。社内ポータルなどで栄養コメントを発信すれば、健康意識の向上にもつながります。
導入後に得られる効果
社員食堂を導入すると、外食のための移動や行列待ちの時間が減り、午後の仕事に集中しやすくなります。
栄養バランスが整うことで健康意識が高まるだけでなく、働きやすい会社として採用や定着にも良い影響を与えます。
さらに、同じ食事を囲むことで部署を超えた会話が生まれ、職場にちょっとした一体感が生まれることも期待できます。
まとめ
実質300円の社員食堂は、「補助の設計」「非課税ルールの遵守」「スムーズな運用フロー」の3つが揃えば実現できます。
まずは小さく始めて、利用状況や従業員の声を聞きながら、少しずつ改善していくのが成功の秘訣です。無理のない設計こそが、長く愛される社員食堂への近道となります。
シェフクックでは、小数・低コストで導入できる出張社員食堂/配達弁当をご提案しております。
記者の環境に合わせて最適な始め方をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。