企業が従業員に提供する福利厚生にはさまざまな種類がありますが、中でも「食」に関する福利厚生は、幅広い従業員が利用でき、毎日のお弁当作りや買い物の手間を減らせることから人気が高まっています。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、買い物や外食に対する抵抗感が強まった昨今では、社員食堂のニーズが特に高まっています。導入を検討する中小企業も増えているのではないでしょうか。今回は、特に中小企業に適した食堂スタイルについて考察します。
中小企業に適した社員食堂とは
その場で調理する社員食堂は、キッチン設備や調理スタッフの確保が必要なため、出来立ての料理を提供できるというメリットはあるものの、設置・運営に多くのコストとスペースが求められます。このような従来型の社員食堂は、中小企業には向いていないケースが多いです。
中小企業においては、「低コストで導入・運営ができること」「専用スペースを最小限に抑えられること」「味が良く、内容が豊富で飽きないこと」「手間がかからないこと」などが重要な条件になります。さらに、感染症対策として「密を避ける」「食事時間を分散させる」といった工夫も必要です。
おすすめの社員食堂スタイル
中小企業にとって負担が少なく、従業員満足度を高められる社員食堂のスタイルとして、以下のような「出張食堂」や「置き型」の形式が注目されています。
出張食堂
出張食堂は、業者が調理した料理を指定の時間帯に配達するスタイルです。料理は保温ジャーなどで提供され、温かい状態で食べられるため、満足度の高い食事を実現できます。提供される料理は、出来立てに近いので、手軽に温かい食事を楽しむことが可能です。
ただし、配達時間が限られるため、昼食時間が分散している企業には不向きなことがあります。また、個々の席で食事を取る「席食」を行いたい場合には、配膳形式の調整が必要になることもあります。
置き型スタイル
置き型スタイルは、以下の2つの形式に分かれます。
- お弁当販売形式
業者が一定の時間帯にお弁当を配達し、従業員がその場で購入するスタイルです。メニューが豊富で、各自の好みに合った食事を選べることが特徴です。また、注文や集金の手間が省け、座席で自由に食事ができるため、利用者の負担が軽減されます。 - 冷蔵庫・自動販売機形式
冷蔵庫や自動販売機を設置し、惣菜やお弁当を販売する形式です。24時間利用が可能なため、夜勤がある企業や、昼食時間が分散している職場に適しています。自由なタイミングで食事が取れる一方、利用者が集中する時間帯には列ができることがあるため、適切な運用が求められます。
中小企業が社員食堂を選ぶ際のポイント
社員食堂のスタイルは、企業の規模や勤務形態によって異なります。従業員が快適に利用できる環境を整えるために、以下の点に注目しましょう。
- コスト管理
導入・運営コストが過大にならないよう、予算に見合ったサービスを選ぶことが重要です。 - メニューの多様性
栄養バランスが取れたメニューや季節ごとのメニューを提供し、飽きのこない内容にすることが求められます。 - 感染症対策
密を避けるため、席食形式や食事時間の調整が可能なスタイルを選ぶことが推奨されます。 - 利便性の確保
利用者が自由に食事を楽しめるよう、注文や決済が簡単に行える仕組みを整えましょう。
まとめ
中小企業にとって、社員食堂はコストやスペースの問題から難しいとされてきましたが、出張食堂や置き型の導入により、効率的かつ満足度の高い食事サービスを提供することが可能です。特に、従業員が多様な働き方をしている現代では、柔軟な食堂スタイルが求められています。
社員の満足度を高める食堂の導入は、単なる福利厚生にとどまらず、企業全体の活性化にもつながります。自社の状況や従業員のニーズに合わせた最適なスタイルを選び、快適なランチタイムを提供することで、従業員のモチベーションを向上させましょう。